アクチュアリーのキャリアを歩む中で、「正会員になったからこそ仕事が楽しくなった」と感じることがたくさんありました。これから数回に分けて「正会員になったら仕事が楽しくなった話」をテーマに、私が感じた変化をお話しさせていただきます。
仕事の内容が理解できるようになった
正会員になる前は、仕事の内容に対する理解が不十分で、何を求められているのかが分からず、もどかしい気持ちになることも少なくありませんでした。しかし、資格取得を目指し、必要な知識を一つひとつ身につけるにつれて、自分の業務に対する解像度が上がり、仕事が楽しいと感じる場面が増えていきました。
当たり前ですが、アクチュアリー正会員になるためには、アクチュアリー試験を突破する必要があります。アクチュアリー試験の2次試験では、生命保険業界における、商品開発、会計、ソルベンシー規制、ERM(エンタープライズリスクマネジメント)といった、生命保険の経営において重要なことを幅広く学ぶ必要があります。
試験勉強を通して、普段の業務で必要となる知識が体系的に理解できるようになり、業務の全体像がみえるようになりましたし、個々の業務への解像度も上がっていきました。
私は商品開発部門で働くアクチュアリーとしてキャリアをスタートしましたので、決算やリスク管理といった他部門に関する実務経験はほとんどありませんでした。しかし、正会員を目指して勉強する過程で、これらの分野についても深く学ぶことができ、業務に対する視野がかなり広がった気がします。
特に商品開発の際、会社の財務への影響を考慮しながら、日本会計基準だけでなく国際会計基準(IFRS 17)にも対応した収益検証などをする必要があったり、会社のリスクへの影響なども試算する必要があったので、商品開発の仕事にも活きてきたなと感じました。
また、2次試験の勉強を通じて、保険会社の法令や規制に対する理解度も大幅に上がりました。アクチュアリーとしての実務に必要な「保険業法」や「保険業法施行規則」、「監督指針」や「保険検査マニュアル」(もう廃止されていますが)、さらには「保険計理人の実務基準」まで、業務に直結する知識を得られたことが、実務をする上で大きな助けとなりました。これらの知識が備わったことで、自分の業務だけでなく、他の部署の業務などへの理解度も上がり、仕事のことを考えるのが楽しくなりました。
正会員資格試験を通して得た知識は、アクチュアリーとしての財産になると思います。普段の実務に直結していない分野であっても、試験で学んだ知識が業務に役立つ瞬間は必ず訪れると思います。現在試験に取り組んでいる受験生の皆さんには、2次試験合格後の広がる視野や仕事の楽しさを想像しながら、勉強に励んでいただけたら嬉しいです。

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